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アスペルガー症候群とは?

アスペルガー症候群は発達障害のひとつです。発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいいます。

自閉症のように相互的社会的関係の障害と、興味や活動の範囲の極端な狭さが目立ちますが、一方、言語の発達あるいは認知の発達には遅れが見られない一群をアスペルガー症候群といいます。多くは知的に正常です。

言語機能の低下はないものの、言葉のやり取りに際して同調性の乏しさや相互性の欠如がみられます。相手の会話の文章をその字義通りにとって、文字の背後にある情緒的な情報に気づくことができなかったり、相手の目を見て話すことや、自然に抑揚を交えて反応することも自閉症者と同様にできません。具体的には次の特徴があります。①他人の気持ちや事情を考えず自分のペースで行動する、②自分が関心があることは他人も関心があると思い、一方的に行動する、③社会の暗黙のルールがわからず、知らない人や初対面の人に心理的距離をとらず話しかける、④適度な嘘がつけず、対人関係を壊してしまう、⑤考えていることや相手の言ったことをそのまま小声でつぶやく、⑥意味がわからないのに、抽象的で難しい言葉を使いたがる、⑦特定の興味のある物を収集する、⑧運動機能の不器用さや協調運動の拙劣さ、⑨感覚の過敏性もしばしば目立つ。

 柔軟性に欠け、臨機応変に物事を処理していくことができないため、いつもとは違う事柄に出会うとパニックを起こしやすかったりします。一方、自身の特徴と対応パターンを長年の失敗から学習して、努力して適応的にふるまえるようになり、あるいは人と交わらなくてもすむ職業にて特異な能力を発揮する方もいらっしゃいます。

アスペルガー症候群で障害年金を請求するには

アスペルガー症候群は発達障害のひとつです。発達障害についてはたとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を受けることができますので、障害年金を受給することは可能です。

初診日について

アスペルガー症候群は発達障害の一種ですので、知的障害と同じように生来的な病気といえます。このことから言えば知的障害と同様に生まれた時が初診日となるように思えます。 しかしアスペルガー症候群をはじめとする発達障害の場合には生来的な病気という面がある一方で、成人になってから症状が顕在化し、初めて病院を受診することも多くあります。 このことから、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害に関しては、知的障害とは扱いが異なり初めて病院を受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とすることとされています。

アスペルガー症候群の障害認定基準

障害の程度

障害の状態

1級

アスペルガー症候群があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ著しく不適応な行動が見られるため日常生活への適応が困難で常時介助を必要とするもの。

2級

アスペルガー症候群があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しくかつ不適応な行動が見られるため日常生活への適応に当たって援助が必要なもの。

3級

アスペルガー症候群があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分でかつ社会行動に問題が見られるため労働が著しい制限を受けるもの。

 

精神の障害については、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月1日施行)(以下、「等級判定ガイドライン」という)があります。等級の判定は、等級判定ガイドラインで定める「障害等級の目安」を参考としつつ、「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で例示している様々な要素を考慮してうえで、専門的な判断に基づき、総合的に判定します。

これを総合評価といい、目安とされた等級の妥当性を確認するとともに、目安だけでは捉えきれない障害ごとの特性に応じた考慮すべき要素を診断書等の記載内容から詳しく診査したうえで、最終的な等級が決定されることになります。

精神の障害についての認定について、障害を「精神障害」「知的障害」「発達障害」3つに区分して、共通する要素と障害ごとの要素について、5つの分野(現在の病状または状態像/療養状況/生活環境/その他)別に総合評価の際に考慮すべき要素の例を示しますので、参考にしてください。

①現在の病状又は状態像

アスペルガー症候群とその他認定の対象となる複数の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断されます。知能指数が高くても日常生活能力が低い(特に対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない)場合は、それを考慮します。

不適応行動を伴う場合に、診断書の⑩「ア現在の病状又は状態像のⅦ知能障害等またはⅧ発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それを考慮する。臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、日常生活に制限が認められれば、考慮されます。

②療養状況

通院の状況(頻度、治療内容など)、薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類・量・(記載があれば血中濃度)・期間)、服薬状況が考慮されます。通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や他の治療の有無及びその内容などが考慮されます。著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況も考慮されます。

③生活環境

家族等からの日常生活上の援助や福祉サービスの有無を考慮されます。入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況が考慮されます。独居の場合は、その理由や独居となった時期が考慮されます。在宅での援助の状況や施設入所の有無、入所時の状況等も考慮されます。

④就労状況

労働に従事していることをもって、ただちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力が判断されます。

援助や配慮が常態化した環境下では日常生活が安定安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される常態が考慮されます。また相当程度の援助を受けて就労している場合は、それも考慮されます。

就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面及び就労以外の場面の両方の状況が考慮されます。一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断されます。

仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それを考慮されます。執着が強く、臨機応変な対応が困難である等により常時の管理・指導が必要な場合は、それが考慮されます。また、仕事場での意思疎通の状況も考慮されます。

⑤その他

「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬があれば考慮されます。「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況が考慮されます。

発育・養育歴、教育歴、専門機関による発達支援、発達障害自立訓練等の支援などについて、考慮されます。知的障害を伴う発達障害の場合、発達障害の症状も勘案して療育手帳も考慮されます。知的障害を伴わない発達障害は、社会的行動や意思疎通能力の障害が顕著であれば、それが考慮されます。青年期以降に判明した発達障害については、幼少期の状況、特別支援教育またはそれに相当する支援の教育歴も考慮されます。